作者 生没年 |
長谷川利行(はせがわとしゆき) 1891(明治24)-1940(昭和15) |
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制作年 | 1930(昭和5)年 |
サイズ | 縦60.3cm×横50.0cm |
技法・素材 | キャンバス、油彩 |
解説 | 放浪の画家・長谷川利行は好んで日暮里や浅草、上野の裏町を歩き回りました。その頃の東京は、関東大震災の大きな破壊を乗り越えて急速に変貌を遂げ、新しい風景が次々と登場していました。利行の絵には、地下鉄、カフェやバーなど、華やかさと猥雑さが同居した当時の風俗が、少し寂しげな視点で切り取られています。 この作品にも、モダンな造りのカフェの正面が取りあげられています。褐色と黒と白を基調に、少々乱暴な筆遣いでリズミカルに描かれています。限定された色数と、投げ打ったような勢いの線が、新しい都市の社交場で繰り広げられる人生の光と影を、あらわしているようにも見えます。 長谷川利行は京都山科に生まれ、10代の頃より詩や短歌に親しみ、30歳で上京します。二科展で樗牛賞を受賞するなど画家として注目されましたが、放浪の中で困窮した生活を送り、板橋の養育院でひとり亡くなりました。手元には、作品、スケッチブック、日記が残されていたといいます。 |
所蔵美術館 | 府中市美術館 |